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とびうおのおはなし  (2006年9月 記)

<このおはなしを4歳になった最愛の迦蓮に捧げます>


 むかし むかし そのむかし 
とびうおは うみのうえを とべませんでした。


 とびうおの「とっこちゃん」と かもめの「かっちゃん」は だいのなかよしです。

とっこちゃんはいいました
 「かっちゃんはいいな まいにち おそらをとべて」

かっちゃんはいいました
  「とっこちゃんはいいな まいにち うみのなかをおよげて」

とっこちゃんはいいました
 「いちどでいいから おそらをとんでみたいなー」

かっちゃんはいいました
 「ぼくがてつだうから きょうから  いっしょにとべるようにがんばろう。
  そしたら いつか きっと とべるよ 」

それから とっこちゃんの おそらをとぶれんしゅうが はじまりました

 さいしょは  かっちゃんのおくちに とっこちゃんをくわえて
とんであげました。

それから くるひも くるひも とっこちゃんの おそらをとぶれんしゅうが 
つづきました。


 あるひ いつもくるはずの かっちゃんがきません。

しかたなく とっこちゃんはひとりで れんしゅうをはじめました。

いっかい    にかい   さんかい

なんだか さびしく なりました。

やっぱり かっちゃんがいないと げんきが でません。

とっこちゃんは おもわずないてしまいました。

とっこちゃんは れんしゅうをやめてしまいました。


 つぎのひも かっちゃんはきませんでした。


 そのつぎのひ そらをみてると かっちゃんのおかあさんが とんできました。

おかあさんが かなしいかおで

「かっちゃんは びょうきで きのう おそらのかみさまのところに
いっちゃたの。 かっちゃんは さいごまで だいすきな とっこちゃんの
ことばかり はなしてたよ。 これを とっこちゃんのせなかにつけてね」
といって  かっちゃんのつばさを プレゼントされました。

「これで いつまでも とっこちゃんと いっしょだねって
 にっこりわらって かっちゃんは おそらのかみさまのところへいったのよ」

みると、かっちゃんのおかあさんは ないていました。

「いやだー もうあえないの かっちゃんに」
  とっこちゃんも おおごえで なきました。

 「ううん。いまでも ずーと いっしょだよ。」というと
かっちゃんのおかあさんは おそらにとんでいきました。


 とっこちゃんはしばらく なきながら そらをみていました。

そのとき おそらから かっちゃんのこえがきこえてきました。

「とっこちゃん せなかにつばさをつけてごらん」

とっこちゃんはおおきなこえで 
「かっちゃん どこよ、でてきてよ」というと
また おそらから かっちゃんのこえがきこえてきました。

「ここだよ。とっこちゃん」
かっちゃんが おそらにあらわれました。

「ここまできてごらん」といって かっちゃんは おおきなつばさをひろげました。

とっこちゃんは せなかにつばさをつけました。
そして おもいっきり はしって ちからいっぱいとびました。
はばたくと どんどん おそらに のぼっていきます。

「やったー」  「やったー」

ふたりは おおよろこびです。

かっちゃんも にこにこがおで となりでいっしょにとんでいます。

「やったね とっこちゃん」
「ありがと、かっちゃん」
ふたりはいつまでもとんでいました。


 おそらもまっかになってきました。


 それからなんです。とびうおがおそらをとべるようになったのは。


 きょうも とおい うみのどこかで とびうおのとっこちゃんと 
かもめのかっちゃんは なかよく とんでいます。